― 旅路の思い ―

「飛騨路の旅路

★ 園児らと遊びて組みし三つ編みの髪をなおして旅に出ずるも

★ 山間に湧く雲ひとつおもむろに尾根伝いつつ峰を覆いぬ

★ 川石は次第に丸味帯びて来つ流れ速かな川下りつつ

★ 自家製の漬物並ぶ朝市に小振りの茄子の色よきを買う

★ 手になじむ赤き陶土の色を持つ小糸焼きの碗二つ求めつ

★ 旅の無事知らす電話の向こうにて姉弟喧嘩の子の声聞こゆ

★ 手に取りて迷いしままに買わざりし飛騨のつげ櫛心に残る

★ 求め来し朴葉みそ焼く匂いたち飛騨高山の旅蘇る

「阿蘇の旅路

★ 山深く重なる木々に阻まれて昼なお暗き渓谷歩む

★ 「やぶ椿・山あじさい」と声に出し友と歩めり渓谷の道

★ 放牧の牛はゆったり草を食む背中に太く名前記され

★ 高く澄む空に向いて飛び立ちぬ鳩は小さく十字になりて

★ 調教師の罵声浴びつつ芸をする小猿の丸き澄みし眼を見る

★ 竹馬に乗りて舞台を巡りゆく小猿は首紐結ばれしまま