― 椿のように ―


★ 花びらを散らすことなく花落とす椿のように我も生きたし

★ 君の手のささやく如く時折にわが手を強く堅く握りぬ

★ 風の鳴る夜半を目覚めて君想う光差し込む朝を待ちつつ

★ 重ね合う手に互いの想い読む我手を強く君の返しぬ

★ 君と吾は二枚の貝のひとひらか潮満つごとく心寄りゆく

★ ひと言の君の言葉に満たされて雪降る街に春の花買う

★ わが想う心の深さそのままを鏡と思えと君の答うる

★ 向きあいて語り合うより同じ空見上げていたき君と想いぬ

★ 振り向けば頷きくるる君がいて今新しき一歩踏み出す

★ 募りゆく想いを秘めて凍て空のあまたの星よりオリオン探す

★ わが耳朶に残る余韻を今しばし浸りて握る受話器の温し

★ 迷いつつ掛けたる電話の呼び出しの音に大きく息を整う

★太平洋越えて掛りし朝毎の電話に今日の力を賜びぬ