― 息子 ―  


★ 隔たりの僅かに狭ばむ思いしてビート効きたる曲を子と聴く

★ 偏差値の足りぬを告げられ帰る道息子は僅かに我に遅るる

★ 朝毎に共に唱うる経本を異国へ旅立つ子の荷に添ゆる

★ アメリカは朝を迎うる時刻かと子の顔浮かべ灯りを消しぬ

★ わが問いに言葉短く答えゆく息子は早もわが背丈超ゆ

★ 卒業の間近となりし子の髪をバリカン当てて丹念に刈る

★ 父を乗せ車椅子押す坂道を黙しつつ子は傘さしかくる

★ ムース付け髪の手入れに余念なき吾子は鏡の前を動かず

★ 北極星を指して知らする君の手の無限の彼方見つめておりぬ