― 台風一過 ―


★ 値の高きレタス両手に持ち比べ閉店間際を迷いておりぬ

★ 台風の過ぎたる朝け口開けしままに死にたる蝙蝠を見つ

★ 六十度に傾きしまま北指して台風に耐え樅の木残る

★ 停電の幾日も続きろうそくの灯り頼りにキャベツを刻む

★ 飛ばされて修復の出来ぬ二階家の残る瓦に海苔網を張る

★ 断水の続きて残り僅かなる汲み置き水をポトスに注ぐ

★ 壁に吊るポトスの鉢より長々と伸びたる葉先床に届きぬ

★ 屋根修理いまだ終わらず雨漏りの染み重なりて黒染みてゆく

★ 何処より漏れ来る雨か術も無くボール並べて滴り受くる

★ 年の瀬を瓦の修理済まぬままいずれの屋根もシートの覆う

★ 飛ぶほどになりし小雀を見届けて割れたる瓦の取替え始む